見どころ

Highlight

◆ 見どころ1 
世界を魅了した吉田博の木版画―

◆ 見どころ2 
探究心と独創性が最大限に発揮された木版画―

 

1. 世界を魅了した吉田博の木版画―

■ダイアナ妃が愛した吉田博

ロンドンにあるケンジントン宮殿の執務室で撮影された、故ダイアナ元英国皇太子妃の姿。昭和62(1987)年に刊行された皇室専門誌『Majesty』に掲載されたものです。1987年といえば26歳の頃。少々上目遣いに微笑む、おなじみの表情の背後に見えるのが吉田博の木版画です。右は「光る海」、左は「猿澤池」。ダイアナ妃は1986年に来日した際、迎賓館に画商を招き、自ら「猿澤池」を購入されたといいます。義父にあたるエディンバラ公は、WWF(世界自然保護基金)の活動を通じて吉田博の長男である遠志と親交があり、ダイアナ妃が博を知るきっかけになったのではないかと推測されています。悲劇の死を遂げてから22年。希有な生涯を送った女性が吉田博の木版画をどのように見ていたのか、興味は尽きません。

『Majesty』1987年より、吉田司氏提供

 

2. 探究心と独創性が
最大限に発揮された木版画―

■同版色替え技法

「帆船」シリーズに見られるように、吉田博が「別摺」と呼んだ、同じ版木を用いて、摺色を替えることで、朝、霧、夕、夜など時刻や大気の状態、光の変化を表しました。

「瀬戸内海集 帆船」より 大正15(1926)年

 

■迫力あふれる「特大版」

長辺が70cmを超える、木版画ではかつてないサイズ。巨大な山桜の版木を用いて、標準の倍ほどある特大の紙の伸縮や、線画のズレを見事に克服した大作です。

「富士拾景 朝日」大正15(1926)年 53.3×71.2cm

「溪流」昭和3(1928)年 54.5×82.8cm

 

■驚異的な摺数

複雑な色彩表現のために、浮世絵版画の3倍以上の手数を掛け、摺数は平均で30数度。多いもので「亀井戸」は88度摺、「陽明門」は96度摺という途方もない工程を経て完成されています。